「プロダクトのサービス化」という方法論
2020.12.21
こんにちは。
Nです。
MEETSHOPでは主にビジネスデザインや制作を担当しています。
先日、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構「神戸リサーチコンプレックス協議会(KRC)」にて弊社取り組みをご紹介させて頂きました。
そこで今回はKRCのプレゼンテーションで用いましたスライドを使い、弊社が提唱している「プロダクトのサービス化」について、概念ベースではありますがご紹介してみたいと思います。
弊社MEETSHOPがやっていることの簡単なご紹介
MEETSHOPはかんたんに言うと、自社事業を展開しながら他社とのプロジェクトを回している会社です。
これは私たちが2020年の初めに描いた事業コンセプトです。私たちはサンナナサロン®︎をハブにして積極的に外部のリソースと組むことで、価値を連続供給できる事業体を目指しています。
(その一部はコーポレートサイトの事例紹介でご紹介しています)
そういう意味もあって、特に2020年に入ってからは自分たちMEETSHOPのことを「サービスを編集し市場投入する会社」とご紹介しています。
今回はこの「サービスを編集する」手法の一つとして私たちMEETSHOPが考えている「プロダクトのサービス化」について、少しご説明ができればなと思っています。
知識や可視化には(それほど)意味はないのではないか?
例えば、私たちは健康診断や人間ドックで、さまざまな検査の数値を目にします。
その数値を見た瞬間から劇的に!健康のために自分の生活を変えたことはありますでしょうか?恥ずかしながら私にはそんな経験はありません。
また例えば、私たちはGoogleの検索によって表示された記事や図表を目にします。それらは美しく、簡潔にまとまっているとします。
その数値を見た瞬間から劇的に!自分の生活や人生が変わったことってありますでしょうか?私にはこのような経験もありません。
なぜか?
一つの仮説として「単純な数値化や可視化では人の行動は変わらない」ということが考えられるのではないでしょうか。単純な数値化や可視化だけでは人に行動変容を起こすことは難しい、ということです。
※1;ここで言う行動変容とは、ヘルスケア領域で言う”行動変容”に限らず、マーケティング的な意味も含めて顧客の行動を変えることを包含するものとします。
※2;ヘルスケア領域における「行動変容」
しばしば「行動療法」と同義でも用いられる。人が生活習慣を変える場合は、無関心期→感心期→準備期→実行期→維持期という5つのステージを経て実現されると考えられている。
知識は体験を通して知恵になる
そこで私たちは次のような方法論を取ります。
その方法論をあらわすのが「知識は体験を通して知恵になる」という概念です。
「体験」というファクターを「知識」に付け加えることで、顧客が手にした知識を「知恵」へと昇華させます。
ここで「知恵」の定義ですが、wikipediaに依る意味が的を得ているように思います。
「知恵」:道理を判断し処理していく心の働き。筋道を立て、計画し、正しく処理していく能力。
Dentsuのオウンドメディア「電通報」にも「知恵」の定義が示されています。マーケティング的なアプローチによる「知恵」の定義ですね。
Dentsuさんは「ユーモア」という要素を情報に加えたものを知恵と定義しておられるようです。
私たちはDentsuさんとは異なり、知識に「体験」という要素を付け加えることで「知恵」を作るアプローチを採ります。
どういうことか?
例えば、受験用の問題集は星の数ほど書店に並んでいます。2020年の今ではwebにも無償でさまざまなコンテンツが転がっています。それらは駆使すればおそらくは東大合格もTOEIC950点も可能でしょう。
本やコンテンツを使いさえすれば国民みんなが東大に合格しTOEICで950点がとれるはずです。
しかしそんな現実は起こっていません。
なぜか?
二つ理由があると私たちは考えます。一つは知識や情報が腑に落ちていないので知恵となっていないから。もう一つは自分自身に最適な方法を自分で見つけることができないから。
いずれもマーケティング的には重要な論点だと思うのですが、私たちは前者に関しては施策や方法論として一般化できるのではないかな、と考えています。
つまり、ビジネスデザインの手法として一定のアプローチが採れるのではないか?と。
それが「知識は体験を通じて知恵になる」という概念です。
「体験」という要素を加えることで知識→知恵への昇華を促します。知恵となった知識は行動変容につながり、行動が変わることで顧客にはロイヤリティを発生させます。
ならば論点はいかに体験を設計するか?という部分に集約できるはずです。
プロダクトをサービス化する
なぜ?多くのプロダクト/サービスは顧客の行動を変えることが出来ていないのか?
その理由の一つとして(そしてこれは多く方々にコンセンサスを得ることができる考えだと思いますが)多くのプロダクト/サービスがプロダクトアウト的であると言うことが出来ると思います。
多くの企業は自社の事業リソースや技術シーズありきでビジネスを組み立てようとします。結果、市場のニーズと乖離したビジネスを作ってしまいがちです。
そこで私たちは、
●プロダクトアウト的な事業リソースや技術シーズは「ありき」で考える
(もはや成ってしまったリソースやシーズは不可変な前提として考える)
●プロダクト/サービスを「ありき」で考えてもう一度サービスを設計しなおす
(不可変な前提をベースにゼロベースでサービスを編集し直す)
という「プロダクトのサービス化」という方法論を用います。
そしてこの「サービス化」という過程において、知識が知恵となるような「体験の設計」をおこないます。
体験を再設計することで(上記の図でありますように)マーケットインとプロダクトアウトとして逆を向いていたベクトルの向きが、再び顧客に向くことになります。
事業リソースや技術シーズ、すでに作ってしまったプロダクトやサービスは(言葉を選ばずに言うと)もうどうしようもありません。
ならば発想の転換で、新しいサービスとして再設計と再構築を行えばいいと思うのです。
そうすることにより、ビジネスは顧客ニーズに向かうベクトルを再び取り戻せるのではないかな?と私たちは考えています。
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この記事を書いた人
N
株式会社MEETSHOPの取締役。得意なことは整理整頓と言語化。