25歳と21歳のジビエ猟師姉妹。
2023.12.05
先週、スタッフと2人で奈良県の山奥の十津川(とつかわ)という場所に行ってきました。
何をしてきたか?
っていうと、そんな奈良の山奥でジビエ猟師をしている25歳と21歳の姉妹に会いに行ってきたんです。
マジ僻地。笑
大阪市内から高速で奈良県の「五條(ごじょう)」ってインターでおりて、そこから延々と下道を1時間半。その1時間半の道のとちゅうに見つけたコンビニは1軒。まじで。
朝の10:00に大阪市内を車で出発して「お昼ごはん何食べよっか?」みたいな話をしていたんだけどそもそも論で食べるレストランも定食屋もない。
→結果、やっと見つけた道の駅でめっちゃ普通のかけそばを食べる羽目に。涙
山道もまじでS字カーブの連続。でも対向車はゼロ。Googleマップにも載っていない道が多数。
名探偵コナンなら10人くらい人が殺されてるんじゃないか?ってレベルです。
そんな山奥で25歳と21歳の猟師姉妹は何をやっているかっていうと、
◎自社のジビエ肉加工工場+ジビエ専門のレストラン
をやっているんです。
そんなマジ僻地にお客さんなんか来るの?ってところなんですが…これが来るんです。
しかも東京から片道6時間かけても「彼女たちが作るジビエ料理が食べたい!」って思ってお客さんが殺到している。
彼女たちのジビエ料理はいっぱんのジビエ肉とくらべてめちゃくちゃ高いんです。でも、それを補って余りあるくらいに美味しい。
実際に僕らも食べさせてもらったんですが、、、
「食べたことのない味と食感」でした。
そりゃ来るわ。この場所でしか食べられないなら、そりゃ来るわ。と思いました。
(実際に彼女たちの料理を求めてやってくるのは富裕層のVIP顧客が多いそうです。そりゃそうですよね笑。VIPな人たちって「新しい体験」を求めますもんね。元ZOZOの前澤さんが宇宙に行ったみたいに。)
で、、、
僕がなんで?こんな感じで振り返り記事を書いているか?っていうと^ ^
その、25歳&21歳のジビエ猟師の姉妹のビジネスセンスが抜群だから、です。
聞けばジビエ料理専門のレストランはもっとアクセスの良い場所に作ることもできたそう。
でも「敢えて」マジ僻地の山奥に建てたらしい。
やばくないですか??そのセンス。
計算でやっていると思うし、逆に、直感でやっていたとしても凄い。センスの塊り。
彼女たちの事業の動機も社会性があってシンプルなんですよね。
奈良県だけでなく日本全国的に鹿や猪などの害獣被害が社会問題になっている。農作物を食い荒らすだけならいざ知らず、最近ではツキノワグマが人を襲うなんてニュースも。
なぜ?害獣被害が減らないか?っていうと、害獣を駆除する猟師の数が圧倒的に足りていないから。
なぜ?猟師の数が増えないかっていうと、ジビエ狩猟が儲からないからなんですよね。ジビエ肉の取引単価が低い。
なぜ?ジビエ肉の取引単価が低いかっていうと、、、
ジビエ肉が不味いから。
つまりこういう論理構造なんです。
ジビエ肉を正しく処理していない
↓
だから、
ジビエ肉は不味い↓
だから、
ジビエ肉の取引単価が低い↓
だから、
ジビエ狩猟は儲からない、食っていけない↓
だから、
猟師の成り手就き手が少ない↓
だから、
害獣被害が減らない↓
だから、
農作物が荒らされたりやクマが人を襲ったりする
という感じ。
つまり彼女たちが取り組んでいるのは大きな社会問題に一石を投じるアクションなんですよね。
自分たちが身をもって「ジビエ狩猟は儲かる」っていうことを示す。
だから、奈良県の山奥にわざわざジビエ専用の食肉加工施設をつくってジビエ肉専用のレストランを作った。
「ちゃんと処理すればこんな僻地でもビジネスは成り立ちますよ」
ってことを自分たちの人生を賭けて社会に示そうとしているんですよね。
そんな姉妹に会いに行ってきたんですが^ ^
僕がいちばん印象に残っているのは21歳の妹さんが言った言葉なんです。
彼女は、
「もう21歳だから。時間がないんです。」
って言うんですよね。
これ、、、
凄まじいメタ認知能力だと思いませんか?
上記のような一連を、例えば、50歳の男性レストランオーナーがやってもマーケティング的には刺さらないんですよね。
25歳と21歳の女の子がやっていることに意味がある。
しかも恐ろしいことに、、、
21歳の妹さんがそのことを思いついたのが高校生の頃だったそう。恐るべきマーケティングセンス。。。
改めて思うのは、、、、
いわゆるビジネスセンスって「自分の役割をいかに俯瞰できるか?」だと思うんです。
ビジネスって「想いがあれば上手くいく」ってもんじゃないじゃないですか。流れがある。
社会の流れやニーズを読み切って「乗らなきゃ」いけないんですよね。波に乗る必要がある。
あ!
いま波がきた!
ってときに一歩目を踏み出せるか。それに尽きると思うんですよね。ビジネスは「絶対に一歩目が速い人」が有利なんですよね。
笑、だって、どうせビジネスなんかピボット(方向転換)の繰り返しなんだから。
だったらパパッと方向修正ができる一歩目が速い人が絶対に有利。
(っていう概念が、いま流行りの『エフェクチュエーション』ってことです)
いや〜
いい刺激になったな〜
って思っていたら『Glomour』がおもしろい記事をリリースしていたのでシェアです^ ^
◎ガールスボス
って概念が欧米では(特にアメリカでは)あるようです。
ガールス=女性、ボス=バリバリ働いて偉そうな人、って感じでしょうか。笑
特にアメリカでは、2000年代後半から2010年代にかけてのハイテクブームにおいて、
「ガールスボス=理想の女性像」
っていうくらい笑、人気があったライフスタイルです。
この記事にある「典型的なガールスボス」スタイルってのが笑けるんですけど、
◉シェリル・サンドバーグやマリッサ・メイヤーのような女性ビジネスリーダーを崇拝
◉朝早くから夜遅くまで働き、ジムで汗を流す
◉ヒラリー・クリントンがガラスの天井を破ることについて話すのが好き
◉ソフィア・アマルソのビジネスアドバイス本『#girlboss』を予約する
みたいな。かなりディスってますよね。苦笑
で、、、、
そんなガールスボス崇拝の時代が終わってじゃあ今はどうか?っていうと、こんどは「ソフトガール」の時代になっているよ。とのことです。
/////
●ガールボス人気が終焉し、今はソフトガールというスタイルが人気になっている。ソフトガールの基本的な思想は、ガールボスになるという考えを根本的に否定することだ。
●2023年においては、多くのガールボスが失脚した。クリントンは大統領選でドナルド・トランプに敗れた。大手ハイテク企業は大混乱に陥っており、かつてガールボスの代表と賞賛された多くの女性の暗い面が明らかにされた。次世代を担う女性たちは、燃え尽き症候群や夜更かし、ストレスによる骨折や卵子凍結を目の当たりにし「もう結構です。もし私たちがそんなに頑張らなかったら?」と自分や社会に問いかける。
●対して「ソフトガール」は、苦労や出世を重視せず、スローライフを優先する。完璧な朝のスムージーを作ったり、肌の手入れをしたり、ハードコアなHIITワークアウトをゆったりとした居心地の良い有酸素運動に切り替え、ほとんど強迫観念のようにセルフケアに集中する。長期的な夢は、夫のために夕食を作り、もし子供がいれば、家で子供と過ごすことだ。自分の会社を設立したりすることには興味がない。彼女は自分の女性的なエネルギー、月経周期、そして気分と向き合っている。
/////
なるほどなあ、と。
この記事で面白かったのは、こうしたソフトガールたちにとって「ハッスル・カルチャー」と呼ばれるものを追求することは、有害で健康を害する可能性があるだけでなく、女性であることの意味に積極的に反している、という考え方です。
で、、、
この記事では、
「そもそもハッスル・カルチャーは男性サイクルのためにデザインされたもので、28日以上の女性リズムのためにデザインされたものではない」
とも言っています。面白い!
ガールスボス。
ソフトガール。
それから、冒頭の25歳&21歳のジビエ猟師姉妹。
ってことを対比して考えてしまいます。
何を選ぶか?何にこだわるか?
っていうのは人それぞれだから自由にすればいいと思うんです。
でも例えば、、、
「ガールズボスが流行っているから!」とか「田中みな実さんみたいになりたいからソフトガール」とか、って何か違うような気がするんですよね。
(まあ、、、田中みな実さんはソフトガールというより生粋のガールズボスだと思いますが。苦笑)
時代に乗る。社会における自分の役割を把握する。というか。
そういう「第3軸」で自分たちのことを把握しているからジビエ猟師の25歳&21歳のの二人は魅力的なんだろうなあ。と思いました。
いや〜
勉強になりました^ ^
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この記事を書いた人
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株式会社MEETSHOPの取締役。得意なことは整理整頓と言語化。