「ベンチャーマインド ≠ 強い想い」を考える
2021.02.19
「ベンチャーマインドで!」
ってよく耳にします。
ベンチャーや新規事業には「想い」が大切、という意味なのでしょう。(恐らくは)
結論から言いますが、ベンチャーには「ベンチャーマインド」も「想い」も必要ないと僕は思います。
今日はそんなお話です。
ベンチャーマインドの定義とは?
一般的にはこのように認識されているのではないでしょうか。
ベンチャーマインド:リスクや失敗を恐れない積極的な挑戦心
抽象的ですね。(笑) そもそも論でベンチャーマインドって何なんでしょう?
ベンチャーマインドは抽象概念だと思いますので、ここでは僕が考える「ベンチャーマインド的な特徴」について具体的に考えたいと思います。
二点あります。
一つは「素直さ」。
もう一つは「すぐやる」です。
「素直さ」とは、バイアスの無さ。文字通り何でもすっと心に取り入れることです。フラットな心。
「すぐやる」とは、時間こそがこの世の中における最大の価値であると分かっていること。メッセージの返事は秒単位で即レスとか。何事も後回しにしないこと。
でもこれらは、どちらかと言うと素質的な側面だなとも感じています。
つまり後天的に(業務の中でという意味)身につけるのはあまり実際的では無いように感じています。何かに触れた時に「へ〜とにかくやってみよう」って思えるか否か?がスタート地点なわけです。
ですので、そのスタート地点に立てない人や立つことの意味が分からない人にスタートラインの立ち方を教えるのってとても難しいと思います。
そのような観点から僕はベンチャーマインド(上記のようなものと定義するなら)を、
学んで身につくようなものではない
と考えています。
ベンチャーマインドを議論する前段階にすべきこと
ベンチャーマインドを先天的な素質であると特徴づけるなら、ベンチャーマインドは獲得することが出来ないものなのでしょうか?僕はそうは思いません。
ベンチャーマインドの前段にあるマインドセットを議論する必要があると考えています。
まず前提として、人は勝手をするものです。
僕は、人は裏切るものだと思っています。勝手をする、裏切る、がデフォルトです。
だから人に期待するのは論理的ではありません。人には諦めた方が早いんです。期待通りのことをやってもらえるはずがない。だから世の中の仕事においては常に予想外のことが起こる。
予想外がデフォルトです。
だったら予想外からの想定成長曲線へ復帰させるスキルを磨いた方がいい。そして、このスキルには感情(イラッとやムカムカや)を介在させるのは効率的ではなく「はいはい〜いいですよ〜」って最速で処理をすることが論理的です。
このようなマインドセットがベンチャーマインドの前段には必要であると考えます。
具体例を挙げますね。
例えば、あなたが考えている事業にとって望外のキーパーソンが現れたとします。
キーパーソンは社会的地位が十分に高く、彼の経験と人脈を使えばあなたの事業は最短距離で成功するイメージが持てるとします。
あなたの思考は、
「彼に気に入られて事業に協力してもらおう」
という方向に向かうでしょう。
つまり、戦略や戦術のレイヤーでの成功ルートではなく「政略」のレイヤーでの成功ルートを事業の第一優先と考えるようになります。
弊社資料:政略とは?例えば戦争が起こって前線では司令官が戦略を練り指揮官が戦術を勝敗のために考えているにも関わらず、安倍首相とトランプ大統領がトップダウンで「戦争はおしまい」と政治決定するようなイメージです。戦略を練り戦術を駆使し前線でどれだけ命懸けの戦いをしたとしてもトップ同士の政治的な決定には敵いません。
これは正しいマインドセットでしょうか?
僕はNOだと考えます。
自分の事業の成功or失敗がキーパーソンの胸先三寸で決まるだなんて…そんな馬鹿げた話はありません。
事業は人が作るもの。
そして、人には心があるもの。
ですが、人の心は変わるもの。
ならば、変わるリスクがあるものを頼る心は事業の障害以外の何者でもありません。それをまず大前提のマインドセットとして持つことこそ大切なのではないでしょうか。
ベンチャー事業に必要なこと
仮に「ベンチャーマインド的な特徴」というものを上記のようなマインドセットの上に立脚する二つの要素、「素直さ」と「すぐやる」とするとします。
そうすると、ベンチャー事業のリーダーに必要なもの、が定義できると思っています。
それは「妄想力」と「編集力」です。
「妄想力」は、まだ見たことがないものを想像する力、だと思います。
これはトレーニングで高めることが出来ると思っています。例えば、逆張りの思考、とかです。常に逆のことを考える、的なことを繰り返し繰り返ししていると自然を身につくものかなあと思ったりします。
「編集力」は、全体の順番を整える力、掛け算を組む力、でしょうか。
結局は事業は順番、だと思ったりします。ずっと同じ調子でリソースを投入し続けるのが事業ではないはずで、今が勝負どき!っていうタイミングが必ずあります。それを把握し配置するメタ認知力、といいましょうか。
話は少し逸れますが…
「これまで存在しなかったまったく新しいものを作る」ことは実際問題、不可能です。
まったく新しい事業。まったく新しい製品。まったく新しいサービス。
そんなものを作ることはそもそも不可能ですよね。
弊社資料:各レイヤーで方法論を整理することが肝要。優位性は既存の掛け算の多さで創出が可能。参入障壁の高さは掛け算の多さと言い換えることができる。参入障壁は「どこにもない新しいもの」で築くのではない。
だったらどうするか?
既存のものを掛け算で編集して「新しい組み合わせを作る」ことが論理的です。
( でも結局は「最速は最善」っていう要素が強いからマッハで最速でやる方が価値を作れるんですが)
まとめますと…
だと思ったりします。
手前味噌ですが僕らMEETSHOP の場合は、たぶん5.の先にある、6.インターフェースを作るのが上手いのだと思います。
例えとして弊社の例を出します。
弊社は2019年〜2020年に、
● 経産省LED関西
(プレシード向けのビジコン)
● 大阪市OSAP
(プレ〜シード向けのアクセラ)
● 大阪市トップランナー事業認定
(シリーズA〜レイターの伴走支援)
● ニュービジネス大賞
(レイター向けの助成金=賞金)
を、獲りました。
これって「プレシード〜シリーズA〜レイター」とたった1年で事業を成長させたっていうことでしょうか?
違います。
伝わり方、伝え方、を全て変えているから。と僕は思っています。
伝わり方や伝え方は、つまりはインターフェースです。実はすべてインターフェースを変えているんです。同じ内容として事業計画を書いていないし、同じ内容でプレゼンしてないんです。
僕らの考えでは、この6.インターフェースの編集が事業ブランディングに繋がります。ブランディングはインターフェースの緻密な積み重ね設計です。
まとめ
やりたいこと、やっていることを、ただ熱量を込めて伝えるのは単なるプロダクトアウトです。上手くいきません。
「想い」は必要かもしれませんが「想い」が一番大切だというのはミスリードを引き起こすと思います。
「想いを実現するのがベンチャーだ」それはちょっと違うかな…って僕らは考えています。
ベンチャー事業は多くの場合、時間もお金もリソースも何もかもが限られています。
ベンチャー事業に必要なものをここで定義するならば、
【ベンチャー事業に必要なこと】
必要なタイミングに、必要なリソースを、必要な量だけ、必要な場所に、最速で投入できること
と言えるのではないでしょうか。
このような業務遂行を成し得るマインドこそ「ベンチャーマインド」と言えると思います。
カテゴリー | マインドセット |
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タグ | サービス設計ベンチャーマインドセット事業開発 |
この記事を書いた人
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株式会社MEETSHOPの取締役。得意なことは整理整頓と言語化。