植物の光屈性と事業ブランディング
2021.06.05
『Atmos』という環境保護系のニュースレターがあります。
2021年6月5日のレターが非常に示唆に富むように思いました。
『Atmos』編集長のWillow Defebaughはコロナ禍のこの一年でほとんどを自室のベッドルームで過ごしたそうです(ジャーナリストっていう職業柄と接触回避)。
そしてコロナ期間の始めの頃にベッドルームに持ち込んだポトスっていう観葉植物が、気がついたらこの一年で8フィート=2.5メートルも蔦を伸ばしていた!っていうところからエッセイは始まります。
<以下、ニュースレターの要約>
●寝室の最も暗い隅にある日陰のある棚に置きましたにも関わらず、ポトスは四方八方に8フィートにもなるような蔓を伸ばしていた。ポトスは光を求めて蔦を伸ばしていたのだ。
●このポトスの性質は、多くの植物 (およびいくつかの菌類) に見られる光屈性として知られる性質である。光屈性とは「光に反応した植物または他の生物の、光源に向かう方向 (正の光屈性) または光源から離れた方向 (負の光屈性)」を意味する。
●多くの場合、両方の形態の光屈性はひとつの植物の中に見られる。葉や茎、蔦は光に向かって成長し、逆に、根は光から離れるように伸びていく。
『Atomos』では、光屈性のこの両面を、コロナ禍の生活に置き換えて(光を求めて伸びたい時期だけど今は暗闇を求めて根を伸ばす時期だよ的な)、さらに、今の世の中のマイノリティ=LGBTQに対する状況に置き換えます。
LGBTQのムーブメントは、光を求めて強烈に伸びているように思えるけど、その裏側ではちゃんと闇を求めて根を伸ばしたからこそ、正の光屈性があるのだよ、と。
なるほどなあ、と思ったんですが、僕はちょっと違うことを思いました。
それは、物事にはいつも両面(正と負)があるということ。そして、2021年の現代人は片方の面しか見ようとしない風潮が強いよなあ、と。
僕らはどっちかというと「どう表現するか?」っていうことを企業さんから求められることが多いです(つまりは事業ブランディング)。
それを四六時中考えているのがここ数ヶ月の僕らなのですが、それにはとても違和感があるのが正直なところなんです。
「外に向けて表現する」
これをブランディングの正の面だとすると、当然のように両面として負の面があります。そして、負の面がなければ当たり前として正の面は伸びないのです。植物における光屈性の両面のように。
負の面とは何か?
僕らは、顧客の声を聞くこと、だと思ったりします。
そして、この「顧客の声を聞く」にも両面性があるように思います。
(これが今回本当に言いたいことです)
「顧客の声を聞く」は、
●顧客に「話させる」
●顧客の「話を聞く」
の両面に分けられるのじゃないかな、と。
つまり「聞く」ためには「話して」もらわないといけない。この「話させる」っていう側面というかスキルというかが何か大きく欠落しているような事象が多いなあ、と最近思います。
●顧客に話させる
⬇︎
●顧客の声を聞く
(この二つで両面性が成立)
⬇︎
⬇︎
●外に向けて表現する
(この部分でさらに両面性が成立)
こちらが一方的に話すことはそんなに重要じゃないし、そんなものブランディングでも何でもない。
どうやって話させるか?
そのスキルを磨いていっているプレイヤーが今後は蔦を伸ばしていくように思います。
(表裏で…どうやって表現するか?ばかり考えている事業は寿命が短いのかもしれません)
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この記事を書いた人
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株式会社MEETSHOPの取締役。得意なことは整理整頓と言語化。